2004/08/26

宿泊施設問題、続々と

宿泊施設関連で、またあまり嬉しくないニュースが続いています。

【無許可温泉掘削・営業の施設が強制捜査】
作並温泉のある施設が、温泉保護地域内で無許可でボーリングし、温泉供給で営業しており、温泉法違反で強制捜査が入ったというニュースです。ボーリングの費用は許可・無許可に関わらず発生する(むしろ、無許可掘削を承知でやったのですから、高いものになったような気がしますが)わけですが、同施設は一度行政指導を受けて営業自粛をしていたにも関わらず、ほとぼりが冷めてから、また温泉供給をしてた模様です。



【偽装・90点の宿】
詳細は、リンク先の報道にあるとおりです。この問題については、私も元非採点現場の経験者として、あまり気分のいい話ではありません。

JTB社では、自社送客の宿泊者に、宿泊先の施設のお部屋、お食事、お風呂、サービスなどについて設問する満足度のアンケートを実施していて、年間を通じて100点満点中の90点以上を獲得した施設は、毎年発刊される「満足度90点以上の宿」に掲載されるばかりではなく、同社窓口でのオススメ順位もこれに基づく営業所も多いようで、JTB社に参画する全国の宿泊施設では、この”90点以上の宿”は一種のステータスシンボルでもあり、施設営業にも大きく関わるポイントです。

この集計は、3カ月毎に中間報告として結果が通知され、それを見ながら各施設では問題箇所の改善ポイント指標としても有効に活用しているのですが、実際に年間を通じて90点以上を獲得できる宿は、毎年わずか100〜130件ほど。私の知る限り、このお客様からいただくアンケートは厳密なもので、いわゆる「ハナグスリ」が効かないために、今回のようなクーポン券を購入してまでも、高得点を得たかったという施設も出てきたのでしょう。

ホテルマン現役時代によく聞いた”噂話”では、「ドコドコの施設では、JTB客専任コンシェルジュを設置している」とか、「JTB経由のお客様には+特典サービス」とか色々な話を聞くぐらい、宿側でもこのアンケート結果には最大の注意を払っているのです。そこまでしても、毎年出てくる獲得施設数が変わらないということは、やはり世間様の目は誤魔化せないものだと思います。口先だけが良くてもダメ、お食事が美味しくても清掃状況が悪ければダメ、などトータルでのサービス・クオリティが結果として出てくるのがこのアンケートなのです。

ちなみに、私が勤務していたホテルは、この「満足度90点以上の宿」には、5年連続で選ばれております。新規オープンして、採点対象施設になって最初の年は89点でした。1点差のために掲載されない宿は掲載される宿の数以上にあるのですが、その結果を受けて翌年度から、支配人以下スタッフ全員で各項目について努力目標として取り組んだ結果、翌年からは90点以上をとれることが出来、それがホテル全体のサービス・クオリティのスタンダードを押し上げることに繋がりましたが、本当に一時たりとも気を抜けない現場を続けないと数字維持は出来ないのです。

今でもそうですが、90点以上獲得のために同社のお客様だけを特別配慮といったことは、私の在籍していたホテルではしておりません。というよりも、忙しすぎて、そんな余裕すらないのが本当のところです。電車でいらっしゃるお客様達は、乗り合わせた方々はほぼ同時にチェックインされますが、お名前を伺う前に、直接予約の方なのか、代理店経由の方なのか、JTB経由の方なのかなんて判別しようも無いことですし、大浴場を監視員よろしく見張って、お客様をチェックするなんてことも不可能な話です。また、フロントが良くても、レストランのサービスが悪い、あるいはその逆など、一セクションだけが良ければOKということもないですし、一年間という長い周期でそのクオリティとモチベーションを全てのスタッフが持ち続けることができた施設だけが、この90点を獲得できるものと、私の経験では理解しています。

私の元同僚達は、今でもその不断の努力を続けています。ジャーニーマンで掲載させていただく施設さんでもこの90点以上の宿があり、それを獲得するに至る労力を知っているからと、私共のようなマイナーな代理店に掲載を受諾していただいてもいるのです。私自身、業界に在籍していた時代の誇りでもあり、今回の偽装事件は、あまり気分のいい話ではありません。

上記リンク先の報道によると、水増しアンケートを抜いて再集計したところ、当該施設では90点は獲得できなかったようです。
クーポン券を自分たちで購入する資金があるのなら、その分、食材原価を上げるとか、設備面でのサービス向上に努めるべきです。宿泊業は、サービスという人間力で勝負する現場であるという事実を再認識して欲しいと思います、
小額のお金で労力をショートカットしようなどということは、世間様には通じないし、自分は以前、そのような施設と勝負していたのかと思うとやるせなくなると同時に、そのホテルで働く良心を持つ大勢のスタッフのプライドを考えると、これまた切ない話しでもあります。

この秋にかけて、宿泊施設問題は、まだまだでてくると思います。